石けんが人に優しく、環境にも良いとは・・限らない。

コラム

こんにちは、ハナです。

以前、動物コンテンツ専門ブログ「あにまるじゃんくしょん」を運営しておられる “えたばりゅ” さんから、このようなコメントをいただきました。

もしよろしければ時間ある時に環境にやさしい洗剤の特集をばm(__)m

それ以来、私なりに洗剤の環境問題を調べていたんですが、私自身も誤解していたところもあって・・改めて記事にしてみようと思いました。

よろしければ最後までお付き合いください。

石けんは本当に人に優しいのか?

石けんと合成洗剤の違い

石けんは動物や植物から取れる油脂に水酸化ナトリウムを加えてつくる固形石けんと、水酸化カリウムを加えてつくる液体洗剤のことです。主原料も作り方もとてもシンプルです。

合成洗剤というのは石けん以外の界面活性剤(異なる性質のものを溶け合わせる性質のこと)を使って作られた洗剤のことです。

「赤ちゃんの肌着にも安心して使える」をコンセプトに謳った液体洗剤の成分を石けんと合成洗剤で比べてみます。

液体石けん 純石けん分(35%脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム)※残り65%は水です。
液体合成洗剤 界面活性剤(24%アルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、純せっけん成分(脂肪酸ナトリウム)、プロピレングリコール、LAS)、安定化剤(クメンスルホン酸ナトリウム、ホウ酸、エチルアルコール、水添ヒマシ油)、分散剤(アルコキシル化ポリエチレンイミン)、ph調整(水酸化ナトリウム、エタノールアミン)剤、水軟化剤(クエン酸)、ケア成分(コットンミルク)、酵素、泡調整剤(シリコーン)

成分構成の複雑さがまるで違うんですよ!!

合成洗剤にもメリットとデメリットがありますので、一概に悪だとは思いませんが、肌にトラブルを抱えた人にとっては、石けんよりも多くの成分を含む分、肌トラブルのリスクが高まるということです。

以前、上半身の湿疹に悩んでいた頃に、家中の洗剤を石けんに変えたんです。

すると症状がみるみる改善したので、肌に優しいというのは身を以て感じています。

湿疹の原因は金属と化繊のアレルギーにあったんですが、石けんを使っている間は症状が改善していたのは確かです。おそらくアレルギーを起こして敏感になっていた肌には合成洗剤は刺激が強すぎたんだと思います。

ちなみに合成洗剤のメリットはこんなこんな感じ!

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合成洗剤のメリット

競合が多く手に入りやすくて安価

たくさんのメーカーから毎年のように新製品が発売されます。自分にあった香りや仕上がりを選び放題です。競争原理から価格も下がりますね。

安価で汚れ落ちの良い洗剤も多いです。

使いやすい

お湯を使って事前に溶かす必要もなく、液剤の量も少なくて済むので、コンパクトでランドリールームを圧迫しません。

「黒ずみ防止」、「抗菌・防菌」、「消臭・防臭」、すでに漂白剤が入っていたり洗剤1つで高機能です。

中性洗剤の存在

石けんは基本「弱アルカリ性」一択です。合成洗剤は「中性」が作れます!

ウールやシルクなど、弱アルカリ性に弱い性質を持つ繊維も多いため、弱アルカリ性の石けんでは洗えないものも多々あるので、素材を選ばずに使える中性洗剤は便利です。

劣化しにくい

合成洗剤のほとんどに長期保存にも耐えうる成分が入っていて、長く放置していても劣化しにくく、消費期限が長いです。

 

【合成洗剤のデメリット】
・肌荒れリスク
・新しい技術なので発展途上
・長年使いづつける健康被害は未知数
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石けんのメリット

洗浄力の強さ

合成洗剤のほうが汚れ落ちが良いと思っている人も多いと思いますが、洗濯洗剤に関しては石けんのほうが汚れをよく落とします。

現代の汚れの多くは汗や皮脂などアルカリとは真逆の酸性です。なのでアルカリの強い石けんのほうが汚れがよく落ちるのです。

正しく使えば、石けんのほうが洗浄力は優秀なのです。

 

泡切れの良さ

合成洗剤に比べて泡立ちが悪い分、泡切れは良いです。

泡切れが良いということは、衣類は肌に残留しにくいというのことになるので、肌に悪影響を及ぼしにくくなります。

柔軟剤なしでもふんわり仕上がる

油落ちは界面活性剤が使われてるる合成洗剤の方がいいのですが、必要な油まで落としてしまうので、洗い上がりがゴワゴワした感じになりがちです。石けんの場合は繊維に必要な油は残しますので、ふっくら洗い上がります。

柔軟剤が必要なくなる、もしくは少なくて済むので香りアレルギーの人も安心して使えますね。

 

【石けんのデメリット】
・商品の種類が少なくSALEにはほとんどならない
・使う量は合成洗剤よりも多くなる
・石けんカスが残る
・使い方にコツがいる
・封を開けたら早めに使い切らないといけない

合成洗剤よりも石けんが肌には安心

石けんの方がデメリット多いですが、それは石けんの使いにくさをカバーするために作られたのが合成洗剤なので、便利さでは石けんよりも合成洗剤のほうが優れているのはしょうがありません。

だけど、石けんは人間が長く使ってるものだし、石けんによる健康被害も聞きません。石けんのほうが少々不便ではありますが、肌に与えるダメージは少ないのは間違いないです。

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人体に優しい=環境にも優しいのか?

石けんは生分解性100%

石けんは1日で生分解性ので環境に優しい

石鹸水をながしても魚は死なない

なんていう謳い文句を聞いたことがある方も多いのではないかと思いますが、これは正しくもあり間違ってもいます。

生分解とは物質が自然に排出されて分解して自然に還ることをいいます。
この生分解を図るテストは大きく分けて2種類です。

●JIS法(一次的生分解)
界面活性作用が失効の度合いをはかるもの

●BOS法(究極的生分解)
完全に水や二酸化炭素に分解かれる度合いをはかるもの

石けんはBOS法でないと意味がない

石けんの場合は性質上JIS法ではあっという間に活性作用が失効されれますが、性質が変わるだけで完全に分解されて自然に還ったという状態とはいえません。

本来石けんの分解をテストするにはBOS法を用いないといけないのですが、世の中にはJIS法だけの結果を出して生分解性100%だから安心と打ち出している商品があります。

例えていうなら、食べなければ痩せるというのと同じで、痩せるのは当たり前のことなんですが、痩せただけでは健康とはえませんもんね!

JIS法だけで生分解性100%と謳っている商品は少し不親切です。

そして、残念ながら石けんは1日では自然に還ることはほぼありません。

同じ分量の石けんと合成洗剤を比べた時に、確かに石けんのほうが解性速度が早い(数日)ですが、実際には合成洗剤よりも石けんのほうがたくさんの液剤を使わなくてはなりません。

洗濯に必要な規定の量をBOS法で調べてみると、石けんは完全に分解されるまで約2週間ほど、実はAS:アルキル硫酸エステル(高級アルコール系)を使った合成洗剤のほうが分解速度は早いくらい。

最終的に100%は自然に還元される石けんといえど、分解されるまでの間は全く無害とはいえません。

分解されやすい成分

ちなみに生分解性が良いとされるのがこちらの成分

石けん
アルキル硫酸エステル(高級アルコール系)【AS】
アルファオレフィンスルホン酸【AOS】
生分解性が良くないとされる成分
アルキルエーテル硫酸エステル【AES】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン系)【AE】
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸【LAS】←特に嫌われています。
気になる人は洗剤選びの参考にしてください。

環境を資源で考えた時

安全性ももちろんですが、自然資源を考えた時、石けんは少し不利です。

同じパームヤシを原料にした石けんと合成洗剤を比べると、合成洗剤よりも石けんのほうが何倍も多くパームヤシを使用しないといけません。

そして合成洗剤の中では、洗剤を作ったあとの絞りカスで生成できるものまで現れてきています。

 

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数十年前の「りん」や「窒素」が問題になっていた頃ならまだしも、現在では石けんが環境に優しく、合成洗剤は悪だという単純な図式ではなくってきているのは確かです。

原材料のヤシ問題についてはこちらを参照ください

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本当に環境にとって大切なこと

だったら、環境のために何を使えばいいのか不安になりますよね!!

ちゃんと下水の整った都会で使う分には、正直なんでもいいんだと思います。

現代の下水処理能力はとても高く、生分解性しにくいと言われる直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)でも99%以上分解できちゃいますから・・・

ちゃんと下水に処理して、多く使いすぎないというのが大切だと思います。

最もよくないのは、石けんを使ってるからと安心して、必要以上多く使うことです。

石けんにしても、合成洗剤にしても使いすぎは環境を破壊します。

洗濯モノは汚れを放置せずに、汚れたらすぐに水で部分洗い(汚れた直後なら水だけで落ちる汚れが多い)、食器についた油汚れなどは事前に古布などで拭き取っておくと、少ない洗剤でも綺麗に汚れは落とせます。

あと、合成洗剤はもちろんですが、石けんと言えど川に直接流すのは環境面ではご法度です。石けんは安全だから、流しても魚は死なないからと高を括るのは人間のおごりだと思っています。

アウトドアや下水が整っていない場所では洗剤を使わない工夫が必要ですね。

まとめ

肌に優しいのは合成洗剤よりも石けんです!

だけど、肌に優しいからといって、環境にも優しいとは限りません。

環境にとって大切なのは何を使うかよりも、使ったとあの処理!

ちゃんと下水を通して自然に還えしましょう。

結局のところ、一人一人が意識して洗剤の量を減らすというのが最も環境に優しいのではないかと思います。私も気をつけていきたいと思います。

 

※横浜国立大 大矢勝氏の論文を一部参考にさせていただきました
石けんメーカーの方にも少しお話を聞かせていただきました。ご協力感謝します。ありがとうございます。

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本日は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。

どなたかの楽しい洗濯ライブの参考になれば幸いです。

 

 

 

コメント

  1. えたばりゅ より:

    お(^^♪早速記事にしてくれたんすね(≧▽≦)スペシャルニサンクス
    しかも環境にやさしいといわれている石鹸の方にもしっかり一石を投じてくれてるところがさすがというべきか、僕も記事づくりの参考にめっちゃなったです(^^♪

    まさにこういった常識っていうものは周りから形作られたもの。

    それが正しいかどうかは、自分の目で、行動で。しっかりと確かめていかないとっす(((uдu*)

    現状は人間がいくら環境に、自然に優しい取り組みをしていても、その取り組みでさえ別の方向での自然破壊や環境悪化につながってしまっていることは否めない事実。
    その中で、今できる限りのことをして行きながら、さらにそれ以上のことを実現できるように模索していかないとですね(^^♪

    いや、めっちゃありがたい記事でしたm(__)m
    マジでサンキュです(^^♪

    あ、あとブログ紹介スーパーありがとうござんす(^^♪

    ・・・ただ・・・
    ブログ名・・・あにまるじゃんくしょんなんす( *´艸`)

    • ハナ より:

      えたさん、コメントありがとうです。
      「あにまるじゃんくしょん」訂正しました(;//?Д/?/)カーッ いやぁ・・・肝心なところを申し訳ないっっ(>人<;)
      最初は石けんは体にも環境にもよくて、この洗剤がおすすめ!という記事を書こうと思っていたんですが、調べるうちにどんどん「なんか違和感」を感じて・・掘り下げると、もう大切なのは「洗剤」ではないなと(((uдu*)ゥンゥン 手放しに石けん万歳という記事は書けなくなっちゃいました・・・結局のところ、人間の意識なんですよね。一人一人が意識して、ちょっとづつ洗剤の量を減らすことができれば、それが最も環境に優しいのではないかと思ったわけです。いろんな話聞いて論文読んで検証結果みて、もう頭がパニックですが、できる限りわかりやすく書けたと思います。本当に勉強になりました。えたさん良い機会をいただき、ありがとうございますm(_ _)m

  2. marimo より:

    人の脳ってコワイですね。
    「肌に優しい=環境に優しいはず」って勝手に思っていました^^;

    そうとは限らないと一石を投じること、何よりいけないのは「使いすぎ」であること、最後まで(・_・D フムフムと納得させられました?☆

    少ない洗剤で済む工夫が私にはまだまだ足りていないという実感。
    自分のものだけきれいになれば良いという感覚から、ちょっと脱皮できそうです♪

    • ハナ より:

      marimoさん、コメントありがとうございます。
      私もまったく同じで「肌に優しい=環境に優しいはず」と思ってました(^▽^;)
      洗剤はどんどん進化してますが、使い方ひとつで自然に脅威をもたらすんだなと思います。
      できるだけ無駄にしないようにとおもいつつ・・我が家には洗剤のストックが山のようにあります(;´д`)トホホ…

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