おうちクリーニング研究家のハナ(@hana_labnote)です。
ウールのコートは冬に暖かくておしゃれなアイテムですが、汚れやニオイが気になるときはどうすればいいでしょうか?実は、ウールのコートは自宅で手洗いすることができます。この記事では、ウールのコートを自宅で洗う方法を紹介します。
コートを自宅で洗うとクリーニング代の大きな節約になりますし、なによりも水で洗うと気持ちいいです。よかったら最後までお付き合いください。
スポンサーリンクウールの特徴を知って安全に洗う
大きくは羊毛を含む動物の毛(獣毛)をつかった繊維全般を指すのですが、一般的にはウール=羊毛と言われることが多いです。
ウールの特徴の一つとして「暖かい」というのが一番最初に思い浮かべる人も多いと思います。
ウールは細かい繊維が複雑にからみあい、空気を多く含みます。この空気が断熱材の役割をする為、外気を遮断し体の温かさを逃しません。なのでコートやニットなど、防寒を目的とした衣類に使われることも多いのです。
ただ、ウールは少々重い。
ウールの分量が多いほど温かくなりますが、重くなりがちです。動きやすさも重視したい場合はウール90%、ポリエステル10%ぐらいがオススメです。
価格に糸目をつけないという場合はラムウールやアンゴラ、カシミヤなどの高級素材は分量が多くても軽いです。
ただ、価格が高い方が扱いやすいかと言えば、反比例する場合は多いので、手入れに自信がない方は羊毛が楽です。
動物性の繊維はアルカリに溶ける性質があるので、洗剤はおしゃれ着用などの「中性洗剤」、もしくは短時間で洗える「ドライ用洗剤」を使います。
スポンサーリンク裏地がキュプラと洗濯の難易度は上がります
あなたが、コートなどを定価のわからない状態で購入するとして(古着屋・オークション・フリマなどなど)、できるだけ良いものが欲しいと思ったら、裏地を確認してください。裏地の素材がポリエステルではなくキュプラ(ベンベルグ)ならば、そのコートはそこそこ良いものです。
キュプラとは、銅アンモニア法レーヨンとも呼ばれる化学繊維。化学繊維でありながら吸湿性と放湿性が非常によく、静電気の発生が極めて少ないのが特徴です。シルクによく似た質感と光沢を持っており、染色した時にシックで深みのある色合いに発色するため高級感があります。
とても素晴らしい素材なんですが、実は洗濯には注意が必要な素材であります。
レーヨンほどではないですが、水につけると縮みやすくシワにもなりやすいです。裏地がキュプラの場合は、おしゃれ着用洗剤よりも短時間で洗えるドライ用洗剤がおおすすめです。
・裏地がポリエステルの場合はおしゃれ着用洗剤
・裏地がキュプラの場合はドライ用洗剤
ウールコートの洗濯開始
では、ウールのコートを洗っていきましょう。まずは洗濯表示を確認します。
ウールのコートの洗濯表示マーク
【素材】
表地 ウール90%、ポリエステル10%
裏地 キュプラ
新しい洗濯表示ではこちら↓
コートに付いている旧洗濯表示では酸素系漂白剤が使えないとは書いていませんが、水を使えない仕様なので、酸素系漂白剤もNGでしょう。
水洗い不可・漂白剤不可
アイロンは中温で当て布必須・セキユ系のドライクリーニングで洗濯するように指示されています。
本来は自宅では洗えない洗濯表示マークではありますが、自己責任で洗っていきます。
洗剤はおしゃれ着用洗剤かドライ用洗剤を使用
表地がウール、裏地がポリエステルだったらエマールやアクロンなどのおしゃれ着用洗剤(中性洗剤)で洗えます。
今回は裏地がキュプラということで細心の注意が必要です。
キュプラの和名は「銅アンモニア法レーヨン」。レーヨンというくらいなので、縮みやすいことが特徴のレーヨンに似ています。
水に浸けると非常に縮みやすく、細かいシワも入りやすく、光沢が失われる難しい素材なのです。
摩擦にも非常に弱いため、こすり洗いも厳禁です。
今回は洗浄力が高く短時間で洗うことができるドライ用洗剤のハイベックをチョイスしました。
※ハイベックについての記事はこちら⇒「ドライ用洗剤の最高峰ハイベック」
自宅でできる!ウールコートの洗濯方法
今回は洗濯物が大きいので浴槽を利用します。
1、洗濯液を作る
浴槽に水をはり、洗剤を規定量入れてよくとかす
2、洗う
コートを洗濯液に入れて10分間浸けるだけです。できるだけ触らない動かさないことが重要。
おしゃれ着用洗剤を使う場合は30分〜1時間浸けおきします。
3、すすぎ
水を抜き、泡が出なくなるまでシャワーで洗い流します。
4、脱水
コートを浴槽の淵にかけて軽く脱水。
5、柔軟剤
浴槽に浅く水をはり(コートがつかるぐらい)柔軟剤を混ぜます。
柔軟剤にコート浸け、約5分浸けおきする。
6、脱水
洗濯機で脱水1分(タイマー1分)
干す
ボディーハンガー、またはハンガーにタオルを巻いて厚みを出したものにコートをかけてしっかり乾くまで陰干しします。
ウールはシワになりにくいので、自分の重みである程度のシワが伸びます。
ニットなど伸びてしまう可能性の高い編み物は平干しですが、コートなどの織物は吊り干しで大丈夫です。
シワになりそうで心配な場合はコートの中にふくらましたゴミ袋を入れます。
ふくらましたゴミ袋を入れることで、布がピンと張ってシワが伸びます。袖はゴミ袋を入れてからふくらませてください。
スポンサーリンクウールコートを美しく仕上げるポイント
暖かい日だったので、丸1日でしっかり乾きました。
ウールだとこの時点で十分着られるぐらいシワは少ないので、シワが気にならなければアイロンはなしでOKです。
アイロンをかける場合は吊るしたまま
アイロンをかける場合はコート吊るしたまま、スチームアイロンを1cmほど離してコートの表面にスチームを当てます。このときコートを裾をひっぱるようにしてスチームを当てると表面のシワはしっかり伸びます。
裏地がポリエステルやナイロンだとアイロンは必要ありませんが、シワがつきやすいキュプラの場合はシワシワになってしましました。光沢も無くなっているので、アイロンがけが必要です。
片方を洗濯ハサミなどで挟んで固定し、もう片一方を引っ張りなら低温アイロンを直接かけていきます。
斜めに浮かすような感じです。
こうすることで、下手な力が入らず変なシワが付きにくくなります。
しっかりシワが伸びて美しい光沢も甦りました。
毛玉取り器でワンランク上の仕上がりに
毛玉があれば、毛玉取り器を使って毛玉を取ります。
毛羽立ちをカットすると、生地が引き締まる感じがして、仕上がりのグレードが上がります。
私が愛用している毛玉取り器です。
ブラッシングでツヤのある仕上がりに
最後に洋服用のブラシで全体をブラシングして毛並みを整えます。ウールらしいふんわりと柔らかい仕上がりになります。
普段の手入れはこのブラシをかけるだけで十分だと思います。
私が愛用しているのはKENTの静電気除去ブラシです。
白馬毛を使用して作られたブラシで、カシミヤやウールなどの高級素材が出す風合いを長く美しく保つために、ハイテクノロジー素材と静電気除去繊維を混毛しています。ブラッシングするとカシミヤやウールの埃や花粉をしっかり落としてくれます。
ウールコートの洗濯 まとめ
美しく洗い上がりました。
ウールのコートは着るたびに洋服ブラシでお手入れしていたので、洗う前とあまり変わらないように見えますが、洗い上がりの良い香りがしてスッキリです。
コートを洗った時の一番の楽しみは、水で洗った爽やかな香り。ドライクリーニングではなかなかこの気持ち良さは得られません。
ドライクリーニングでは汗などの水溶性の汚れが落とせないため、繰り返すとくすんだような質感になる場合があります。水で洗うと、このくすみがとれて色が鮮やかになるんです。
普段はドライクリーニングのコートも何回かに一回、水を使かって洗ってみてはいかがでしょうか。自分で洗うのが不安な場合はクリーニング店で「ウェットクリーニング」を指定すると、特殊な水を使って洗ってくれますよ。
本日は以上です。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。あなたの楽しい洗濯ライフのお役に立てたら幸いです。
コメント
自分が買ったはいべっくぜろには液性が弱アルカリ性と書いてありますけれど、ウールセーターなど洗っても大丈夫ですか?アルカリは動物に良くないとどこかにかかっていた気がします。
わたみさん、こめんとありがとうございます。
おっしゃるとおり、弱アルカリはウールなどの動物性繊維には適しません。なのでおしゃれ着用は基本的には中性なのですが、ハイベックの場合は、なぜ衣類に優しいかというと、液性ではなくスピートなのです。動物性繊維にダメージを与える前に洗いあげてしまいます。なので少し通常のおしゃれ着用と洗剤とは違います。ハイベックも長時間漬け込んでしまうと、衣類にダメージを与えてしまう可能性がありますので、つけおき時間は規定の時間を守るようにした方が無難です。
詳しくおしえていただきありがとうございます。
まちがったやつ買ってしまったかと思いましたが安心しました。
使い方よくみてあらってみます。